年金

年金の繰り下げ受給するしない?

公的年金の支給開始年齢は60ー70歳の間で選ぶことが出来ます。65歳を基準として1年繰り上げる毎に6%減額、1年繰り下げで8.4%の増額となります。65歳で受給していれば、年間211万円(月額17.5万円)の場合、 70まで繰り下げすれば。額面では42% 年間300万円(月額25万円)にもなります。しかし、実際には年間収入が増えるため、税金と社会保険料が年33万円の負担増となりますので、手取りでは26% 年間267万円(月額4.7万円)増にしかなりません。年間211万円というところに壁があり、それを超えて212万円になると税金が発生して手取りは大幅に減ってしまうようです。このため、年金が211万円を少し越える方は、繰り上げ受給を選択してわざと年金額を減らす方もいるようです。

年金収入 211万円(65歳受給) 300万円(70歳繰り下げ)
所得税 28000円
住民税 67000円
社会保険料 187000円 424000円
合計 187000円 519000円
月額手取り 160000円 207000円

さて、この状況に対してはさまざまな意見があるようです。

  • 損得だけで考えると、平均寿命を大きく越える91歳まで生きないと元が取れない
  • 年金の仕組みが悪化する可能性があるので早く受け取ったほうがよい
  • 歳をとってからお金をもらっても使えない
  • 年金は長生きリスクに対する保険なので、損得は無意味 4.7万円増は大きい

上の例では基準が211万円で税金がゼロになっていて、それ以上収入があってすでに税金を払っている人については、繰り下げしたらどれくらい有利になるのかは調べないとわかりません。

65歳から70歳まで毎年300万円を取り崩すと1500万円の資産がなくなります。もちろん資産がなくなったとしても、70歳以降年金だけでお金が余る暮らしをしていけるなら問題はありません。でも、蓄えがこんなに減るのは心理的にはちょっと不安ですね。ここで仮に、1500万円を5%で運用できたとすれば、毎月6.2万円となります。繰り下げ受給の方は4.7万円増えますが、こちらはリスクゼロで確実にもらえます。

以上を考えて次の結論に達しました。

  • 資産に余裕がないなら、繰り下げ受給で確実に4.7万円のプラスを手に入れる
  • 資産に余裕があるなら、資産運用による期待値6.2万円を選択し、若いうちに活用する

ちなみに実績では、繰り上げ受給をしている方は34%、繰り下げ受給はわずか1.4%だそうです
ただ、大事なのは年金をどれだけ多くもらうことではなく、毎日ほがらかに過ごせるかどうかだと思います。毎月10万円でにこにこと過ごしている人もいるし、60万円使っていても不機嫌な人もいます。男性の健康寿命は72歳、平均寿命は82歳。残された僅かな時間をにこやかに生きたいものです。