年金

確定拠出年金の運用方法

企業型確定拠出年金とiDeCo

自営業者の方には国民保険、会社員には厚生年金という公的な年金制度がありますが、これに加えて企業や個人が独自に加入する私的な年金制度として、確定拠出年金という仕組みがあります。以前の企業年金は、受取額が確定している確定給付年金というタイプが主流でした。しかし、この方法は運用がうまくいかなかった時に企業が不足分を補填する必要があり、企業側のリスクが大きいため多くの企業はこの方式を廃止し、確定拠出年金という制度に切り替えています。このような「企業型確定拠出年金」の他に、個人が独自に加入することのできる「個人型確定拠出年金」いわゆるiDeCoもあります。確定拠出年金は、企業型、個人型のどちらかしか利用できませんでしたが、2022年10月以降は会社が認めれば併用ができるようになるようです。

確定拠出年金は老後の蓄えを貯める上で、税制上最も有利な仕組みとなっています。投資にはリターンも大きいですが、それに見合うリスクが伴います。しかし、税制上の優遇は何のリスクもなく、リターンだけを享受できるのですから、活用しない手はありません。デメリットとして60歳まで引き出せないことを上げる方がいますが、そもそも老後の資金であることを考えれば、一定額の貯蓄がある人にとっては問題とはなりません。

確定拠出年金は税制上最も有利

  • 運用で利益が出ても受け取るときまで課税されないので複利運用が有利(通常20%)
  • 掛け金は所得税の対象から差し引かれるので、大きな節税になる(所得控除)
  • 受取時も一部非課税

確定拠出年金は株式で運用

確定拠出年金では、企業や個人が拠出する金額は確定していますが、運用方法は各人に任されていて、将来受け取ることのできる金額は、運用の成果によって決まります。運用として定期預金を選ぶのと、株式を選ぶのでは、受取金額が2−4倍違ってもおかしくありません。ちなみに私が以前勤めていた会社では8年位まえに確定給付年金から確定拠出年金に移行しました。私の場合、運用における株式の比率はそんなに高くなかったと記憶していますが、わずか6年で1.9倍になっていました。運用していた6年間は米国も日本も株が右肩上がりで上昇していた時期だったので、株の運用比率がそれほど高くなくてもこれだけの成果があげられたのだと思います。もし、私が以下に書かれた確定拠出年金の効果的な利用法を知っていて、株式100%で運用していたらにしていたら、運用益は2倍近くになっていたと思います。確定拠出年金は税制上もっとも有利な仕組みですから、そのメリットをフルに活用していきましょう。

有効活用のポイント

  • できるだけ大きな額で利用する
  • 自分の資産運用全体の中でリスクを取る運用を集中させる
  • 手数料の安い株式のインデックスファンドで運用

まず、拠出する金額についてです。企業型拠出年金には 1.企業だけが支出する 2.企業と個人が支出する 2つのタイプがあります。お勤めの会社に確認して、個人が支出できるならフルに活用しましょう。iDeCoについては、人によって大きく異なるので、公式サイトで確認してください。

資産運用の内容は確定拠出年金の中だけで考えるのではなく、それ以外で貯金や株式なども含めた資産全体で考えることが重要です。定期預金のようにどこでもできるものを、貴重な確定拠出年金の枠を使って行う必要はありません。確定拠出年金のメリットは、利益に税金がかからない点ですので、それを最大限に活かすためには、利益が大きくでる可能性がある商品で運用しなくてはなりません。確定拠出年金で運用できる商品は会社によりますが、20種類程度の厳選されたものになります。商品は大きく分けて元本確保型と投資信託の2種類になっており、この中でもっとも手数料の安い株式のインデックスファンドで運用してください。保険や貯蓄はもちろんのこと、投資信託でも債権やアクティブ型、バランス型は選んではいけません。債権がほしければ、自分の証券口座でで買ってください。

資産の運用は、個別の枠組みの中で配分を考えるのではなく、資産トータルで考える必要があります。利益がでる確率が高いものを優遇税制ある仕組みで運用していくのが効率的ですので、リスクを多く取る順番としては次のようになります。

  • 確定拠出年金
  • NISA
  • 特定口座(一般の証券口座のこと)

運用商品の選択

お勧めは外国株インデックス一択です。

  • 外国株インデックス 100%

確定拠出年金の外国株インデックスとは、先進国株式インデックスのことで、米国株式が7割程度入っています。このインデックスが想定されるリターンが一番高く、利益が出た場合は優遇税制を最大限に活用できます。

どうしても国内株式を持ちたいということであれば、最大で20%というところだと思います。しかし、それも確定拠出年金の中でしか買えないわけではないので、持ちたいならば特定口座で購入すればよいと思います。

  • 外国株インデックス 80% 国内株インデックス20%

ちょっとした選択の違いで、同じように働いていてるのかかわらず、一生で受け取る金額が何百万円も違ってきます。私は確定拠出年金が始まった時にこのことを知らずに適当に分散して購入していたので、株式の比率は高くありませんでしたが、途中でなんとなく気がついて70%くらいに上げました。同じ時期に損をしたくないということでディフェンシブな運用をしていた方と比べると定年の際に受取額に400万円も差がついていてびっくりしました。もちろんこの10年米国株が絶好調だったという幸運にも恵まれたわけですが、現時点で不適切な運用をしてしまっている方は、速やかに切り替えることをお勧めします。